仕事に対する想い

25歳の冬、電気が止まった部屋で学んだお金の価値

ファイナンシャルプランナー・八頭司 学



一生涯ついてまわる「お金」の問題。一般的に、老後の資金は3,000万円が必要だと言われているものの、将来の見通しが立たず、言いようのない不安を抱えている人は少なくない。

平成元年生まれ、現在、総合保険代理店のファイナンシャルアドバイザーとして働く八頭司 学(やとうじ まなぶ)も、かつては生活に困窮し、明日も見えないような不安だらけの日々を送っていた。

あの最悪のときがあったからこそ、八頭司は身をもってお金の大切さを痛感し、「保険」と「資産運用」が人生の豊かさに欠かせないものだと悟ることができた。

「過去の自分のような人を救いたい」、その思いが八頭司の最大の原動力だ。



一人の営業マンとの出会いが、「保険」の価値観を変えた

佐賀県に生まれ育ち、九州産業大学を卒業した八頭司は、トヨタ自動車株式会社のディーラーだった父親の影響で、福岡トヨペット株式会社へ入社。安定志向の両親は喜び、八頭司自身も大好きな車に関われることに満足していた。

しかし、徐々に仕事への不満が募り始める。

「営業マンであれば、どんなときもトヨタの車を勧めるべきだと思うんですが、他メーカーの車に惹かれるお客様の気持ちも理解できるので、お客様に強気な営業ができなくて……。お客様が他社の車を購入すると、その時点で関係性がストップしてしまうことも残念で仕方がありませんでした」(八頭司)

お客様の人生に末長く寄り添いたい。そんな八頭司の願いとは裏腹に、厳しい現実を突きつけられた。営業成績は同期12人中、下から2番目。心のもやもやだけが日に日に増していった。

そんな八頭司の運命を変えたのが、友人の紹介で出会った保険の営業マン・S氏の存在。当時、まったく保険に興味がなかった八頭司の価値観を、S氏はたった一度の商談で180度変えた。何より、彼自身の人間性に魅了されていたのだ。

「Sさんは、さも当然のように『一生あなたをサポートします』と言いました。当時の私は、そんな重みのある言葉をサラッと言えることが衝撃的で、『この人はすごい!』と、彼の人間性に引き込まれてしまった。営業マンとしての仕事への向き合い方を見せつけられた気がしました」

彼のように、お客様の人生の伴走者になりたい。ふわふわと彷徨っていた八頭司の心が、ビシッと定まった瞬間だった。

電気が止まる……。転職2年目で味わった地獄の日々

八頭司に衝撃を与えたS氏は、プルデンシャル生命保険の社員だった。彼に「プルデンシャルで働きたい」と懇願したものの、「ダメだ」と一蹴された。

トヨペットでの営業成績が振るわず、なんの功績も残していない八頭司に対して、「何かしら1番の結果を出してこい」と彼は言った。そこから1年、八頭司は生まれ変わったかのように必死でトヨタの仕事に打ち込み、ついに誇れる成績を残すまでに成長する。

「自動車の販売数では先輩に勝てないと思ったので、自動車保険に焦点を当てて営業活動をしたところ、成績1位を獲得することができました。その結果、九州では最年少でヘッドハンティングを受け、プルデンシャルへ入社しました」

毎月、一定額の給与が振り込まれるトヨペットとは異なり、プルデンシャルは完全歩合制。売れなければ給料は支払われない。社会人2年目でそんな厳しい環境に身を置くことに、家族は猛反対。それでも八頭司の気持ちが揺らぐことはなかった。

意気揚々と仕事に取り組む八頭司に試練が襲いかかるのは、入社2年目のこと。1年目は家族や知人を頼ってなんとか契約が取れていたが、2年目からはそうはいかない。ついには一人暮らしをしていた部屋の電気が止まり、ギリギリのところまで追い込まれた。

「絵に描いたような極貧生活で、好きなものは買えないし彼女とデートもできない。やりたいことが何にもできない不自由さを味わい、人生はお金がすべてではないけれど、お金があることで選択肢は無限に増える、それが幸せにつながると思いました」

しばらく負のスパイラルは続いたが、そんなどん底の状況でもプルデンシャルに居座っていたのは、お客様を裏切りたくなかったから。

「私を信じて契約してくれたのに、一生サポートすると言ったのに、その約束を破るわけにはいかない」、八頭司は、理想と現実のギャップにがんじがらめになっていた。

「お客様を一生サポートする」信念と希望を抱いて新天地へ

「どうにかしなければ」、そんな焦りだけが募るなか、八頭司はまたしても運命的な出会いに恵まれる。

「資産運用について教えてほしい」

一人のお客様のその言葉をキッカケに、資産運用について調べ始めたところ、その魅力にとりつかれた。今まで投資にはバクチのようなイメージを抱いていたが、よくよく調べてみると、リスクを最小限に抑えて将来のためにお金を増やすことができるとわかった。

お客様に了承を得て、実際に資産運用にトライしてみると、勉強したとおりにお金が増えた。

「これはイケる!」そんな手応えをつかむと同時に、お客様が今までにないくらい感謝して喜んでくれた。ただ、課題はプルデンシャルでの商品だけではお客様の要望に全て応えることが出来ないことだった。

自信を持ってお客様の一生をサポートするために、保険と資産運用のどちらも提案できる環境に身を置きたい。とはいえ、プルデンシャルを離れることでお客様を裏切りたくない。

そんな衝動に駆られていた矢先、偶然にも自分と同じ葛藤を抱き、プルデンシャルから総合保険代理店に転職を果たしたK氏との出会いが。K氏はお客様に正直な思いを打ち明け、同意を得たうえで転職したと語ってくれた。

「誠意は必ず伝わる」、そんなK氏の言葉どおり、お客様1人1人に本心を告げたところ、「転職したらいい。そうしたら、また君から保険を買うよ」と好意的な返事ばかりだった。

お客様から勇気をもらった八頭司は、新天地へ飛び立つ決意を固める。そうして、3年半在籍したプルデンシャルを離れ、K氏の紹介を受けて総合保険代理店への転職を果たした。

資産形成・資産運用を通じて幸せになる人を世の中に増やし日本をよりよく

転職後、八頭司は約50種類もの保険を扱い、それぞれのお客様にマッチした保険を提供するとともに、投資信託の普及にも力を入れている。

とくに自分と同世代の20〜30代の人を対象に、よりリスクの低い積立投資(ドルコスト平均法)を提案し、彼らの未来の選択肢を広げたいと意気込む。

2018年8月からはドルコスト平均法のセミナーも開催し、よりアグレッシブに活動に励む。

プライベートでは2017年に結婚、2018年1月、2020年2月には娘が誕生し、思い描く未来地図がより明確になった。

「家族と一緒にいれば、どこにいても何をしていても幸せなんです。妻と娘がいてくれるから、より一層、仕事をがんばれます」

そう言って八頭司は、ふんわりとやさしい笑顔を見せた。

健康で心地よい日々を送るために、人生の可能性を開くために必要不可欠なお金を、どう使い、どう運用するべきか。八頭司が出した答えは「守りの保険」と「攻めの資産運用」の2つを兼ね備えることだ。

結婚、子供の誕生、自宅や車の購入、病気やケガ。人生には、さまざまなシーンが訪れる。そんなとき、ファイナンシャルプランナーという存在が必ずあなたの支えになる。

極貧生活で味わった苦しみや無念さが、八頭司を大きく成長させてくれた。あの地獄の日々は、使命の道を見出すための試練だったに違いない。

「資産形成・資産運用を通じて縁ある人の人生の選択肢を増やし生活の質の向上に寄与する」

今、八頭司は胸を張ってそう断言できる。